映画づくりの進め方を学ぶ
映画はどのようにつくられるのか。その基礎を知っておこうと、数多くの作品を手掛けてきた全体進行の向田優氏による「映画づくり講座」がオリエンテーションの一環として開催された。
今回は映画づくりの現場に立ち会った経験者が多いものの、全体的な流れや細かな役割を知らない人がほとんど。映画づくりの資料をもとに「どんな部署・役割があるのか」の説明が行われた。改めて、映画の企画・制作・上映に至るまで多くの人がかかわっているのがよくわかる。
うち制作部は撮影場所を内容に応じ、数多くのロケハンを経て、申請を行う。「現場の土台づくり」に欠かせない重要な役割を務めている。
脚本は映画制作にとって必要な設計図。ト書き一つで人や時間、予算が動く。脚本が上がれば、各部の視点・立場で映画を完成するまでのプランやアイデアをプロデューサー、監督、助監督、撮影、照明、録音、美術、衣装メイク、制作、そして俳優部と共に打ち合わせ、リハーサルを行う。技術・時間・規模などをすり合わせ、撮るための戦略を考え、助監督は撮影スケジュール(香盤表)を組んでいく。問題を予想して先手先手を打つことが肝要。決定事項などの情報を共有し、各部署が連携をとって映画づくりは進んでいく。

映画製作におけるハラスメント防止&
安全対策について学ぶ
2017年以降、世界に広がった#MeeToo運動は映画業界に深く根付いていたセクシャルハラスメント、パワーハラスメントがはびこる問題を表面化。肉体的・精神的・言動的暴力は個人の問題ではなく、業界全体のシステム不全として認識されるように。と同時に、低予算・過密スケジュール、安全管理責任の曖昧さ、「映画だからリアルを追求する」といった無理な演出による事故も起きていることから、映画制作においても例外なく、働き方改革が進められるようになってきた。
そんな状況下、本プロジェクトも「ハラスメント」「安全対策」についての意識を持ち映画づくりに臨むべきと、宮瀬佐知子リーダーがそれらのガイドラインを解説。深夜・長時間労働にならないルール決めを自主的に徹底するよう呼びかけた。
カメラ、録音マイクなどの使い方を学ぶ
オリエンテーションがひと段落したところで、技術スタッフによる機材の講習会が行われた。映画やドラマなどの撮影現場で出演した経験を持つ参加者は多いものの、やはり本格的な機材を実際に手にして操作した人は少ない。
「俳優は監督や演出部の領域に踏み込んではいけないという暗黙のルールがあり、かねてから不自由に感じていました。だからこそ制作の仕事もしてみたく、技術的な講習を受けたうえで映画づくりに参加できるのはとてもためになります」と、参加者のポテンシャルは高い。
講師はAチームの制作をサポートする、撮影監督の迫あすみ氏。カナダで学び、オーストラリアで経験を積んだ撮影技術を分かりやすく説明していく。さらに各チームのリーダー、本部の制作スタッフがサポートしながらカメラ、マイク、モニタ、結線など機材の説明をはじめ、撮影のコツ、マイクのポジショニング、さらにカチンコの使い方を披露する。


かねてから地元住民のみなさんを巻き込み、ともに映画づくりをしていきたいと、昨年度は「映画に一緒に出よう!」とエキストラを募集。さらに今年度はもう一歩踏み込み、一緒にアイデアを考えたり、本格的な演技をしていただこうと、ワークショップを事前に開催した。
向田優氏を講師に迎え、学生リーダーの水野彩美さん、中澤莉胡さん、日高真優さんがサポート、昨年もエキストラとして出演してくれた綾部蒔千ちゃん、灯来ちゃん、高久田寧々ちゃんを含む6人の子どもたちが参加した。
最年長は小学校6年生。いずれも震災を知らない子どもたちばかり。そんな子どもたちが元気に歌って踊る姿を見ているだけで地元の大人たちは胸に迫るものがあるという。彼らの出演シーンが期待される。
