2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県浜通り地区。その中の双葉町は、10年以上0人だった居住者が徐々に増え続け、2025年4月現在、190人ほどに。政府は地域住民の生業の再建や企業誘致に着手し、復興・再生に向けてさまざまな事業を推進している。
そんな中、映画24区は芸術や演劇で新たな彩りを地域にもたらし、その魅力に惹かれる若者たちが集う流れを作っていきたいと、芸術・文化を通じた地域活性化イベント「福島浜通りシネマプロジェクト」を企画。第一線で活躍する映画監督やプロのスタッフたちを福島浜通り地域に招聘し、日本全国から集まった学生・若者たちと共に、映画づくり体験から将来のまちづくりを考えていく。
2022年夏、2023年冬、2024年秋に続き、2025年度も福島浜通り地域・双葉町にて、今回で4回目となる「福島浜通りシネマプロジェクト2025」が12月16~20日に開催された。「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」など映画を活用した地域プロデュースを行うキネマ旬報企画・映画24区が、経済産業省と共に立ち上げた本プロジェクトは芸術・文化を通じた街づくりを行うべく、映画づくりに着目。福島県内の地元市民および日本全国から集まった学生・若者たちがプロのスタッフと共に双葉町で映画づくりに挑戦する。
具体的にはロケハン、脚本づくり、撮影、編集、上映会と、映画づくりの全工程を同世代の仲間と協力して、5日間で映画を完成させる。初めて出会う仲間と過ごす濃厚な時間は刺激的な体験になることだろう。
当日は、冬の寒さを感じながらも、天候に恵まれた5日間となった。〈映画づくり体験〉は2班に分かれ、チームリーダーの若手監督4名をはじめ、制作をサポートするスタッフを配置。さらに、映画づくり経験のある学生リーダーがチームを引っ張っていく。2班をサポートする本部スタッフにはプロの制作陣を揃え、こちらにも本プロジェクトに連続参加する学生リーダーを招いた。
これから大きく変わっていくであろう「福島県浜通り地域」。2025年現在の双葉町は参加者の目に、どのように映るのだろうか。


双葉町での映画づくりで生かされる
人づくり、まちづくり──
2022年度の夏に経産省からの委託事業として始まった「福島浜通りシネマプロジェクト」は、一過性で終わることなく、10年間続けることを一区切りの目標として立ち上がりました。
復興の最中、年々移り変わる双葉町の姿を、プロの映画人と全国から集まった学生たちが共にカメラを通じて、「映画」という形で記録し続けるプロジェクトです。と同時に、震災前から双葉町に伝承されてきた歴史や文化、そして震災以降、遠く離れた場所から双葉町に思いを馳せる人々の心の中にある「変わらない双葉町」の姿も改めて見つめ直す機会になれば幸いです。
4年目を迎える今回は、双葉町駅西エリア管理組合の皆様にご協力いただき、双葉町民の子どもたちが撮影にキャストして参加してくださいました。町民が0人の状態から始まった本プロジェクトゆえ、念願の町民参加は大変喜ばしいことでした。また、制作拠点を提供してくださった浅野撚糸様、ロケの撮影にご尽力いただきましたふたばプロジェクトの皆様にも心より御礼申し上げます。そしてこのプロジェクトに参加してくれた学生やスタッフたちが今後も双葉町の変化に関心を持ち続け、ひいては近い将来、直接的・間接的な形で双葉の発展に貢献してくれることを節に願っています。

2チーム体制で制作。若手映画監督ほか、撮影・録音・編集を指導する制作スタッフや車両担当を
それぞれ配置、本部スタッフも手厚くフォローする。

水野彩美(学生リーダー)
一宮レイゼル/伊藤脩平/小熊美由紀
鈴木智恵/中薗菜々子
- 宮瀬佐知子
神奈川県出身。助監督、AP、キャスティングなどを経験した後、プロデューサーとして独立。短編監督作「ミルクレディ」が第21回大阪アジアン映画祭スペシャル・メンション受賞。プロデューサー作品は「君が世界のはじまり」「宝島」など。
- 林真子
1996年生まれ、兵庫県出身。大学卒業後は主に美術部として作品に参加。大学時代の仲間と映像制作集団「世田谷センスマンズ」を結成。初長編監督作「これらが全てFantasyだったあの頃。」がぴあフィルムフェスティバル2024で審査員特別賞受賞。

- 迫あすみ
神奈川県出身。大学卒業後カナダで映像を学ぶ。卒業後帰国、撮影助手として主にドラマの撮影に携わる。2014年から2年間はオーストラリアを拠点に活動。2021年撮影監督として独立。

- 四宮義斗
1990年生まれ、徳島県出身。俳優として映画やドラマなどの制作に携わる。2025年には制作スタッフとして参加した「すとん」、俳優として出演した「道草キッチン」が公開。

- プリンセス・アンポール
フィリピン出身。高麗大学メディアスクール卒。2024年に短編「パサルボン」を脚本・監督・プロデュース、現在SNSショートドラマ「ハロハロ・ハウス」の脚本・監督を務める。初の長編映画監督作を準備中。

中澤莉胡(学生リーダー)
中亮介/佳香/九條えり花
白川紗江/村川晴南
- 渡邉りか子
1994年生まれ、福岡県出身。日本大学藝術学部映画学科卒業後、主に俳優として活動。2024年、初監督作「すとん」が第19回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門で入選し、翌年に2作目「心玉」との2本立てで劇場公開を果たした。
- 北林佑基
1996年生まれ。神戸芸術工科大学に進学し、石井岳龍監督に師事。映像制作集団「世田谷センスマンズ」を結成し映画制作に携わる。経済産業省の次世代クリエイター支援事業「創風」に採択され短編「パッキン太郎」を制作中。

- 二宮絵梨香
1998年生まれ、福岡県出身。主に俳優として活動し、2025年には主演作「はなびのひ」、ほか「早乙女カナコの場合は」「悪い夏」が公開。現在、初の長編映画監督作を準備中。

- 條々淳
電機メーカー勤務。エンタテビジネスの新規事業開発に携わり、4D、ドローンなどを活用した体験型コンテンツの企画・推進に従事。現在は「映画館」を起点に、新たな体験価値の創出に取り組む。

- 松本佳樹
1995年生まれ。神戸芸術工科大学卒業後、世田谷センスマンズに所属し編集などに携わる。「地球星人(エイリアン)は空想する」がSKIPシティ映画祭2023にて優秀作品賞&SKIPシティアワード受賞。


- 向田優
1987年生まれ。「Sin Clock」「メンドウな人々」(23)「ハローマイフレンド」(25)助監督や「ソレダケ that’s it」(23)劇中コミック・アニメ作画などを務める。また放送芸術学院専門学校の講師も務める。

- 大宮実
数多くの作品に携わり、2025年には制作を担当した「道草キッチン」(白羽弥仁監督)が公開。その他参加作品に「ハローマイフレンド」(市井昌秀監督)、「神社 悪魔のささやき」(熊切和嘉監督)など。

- 常本亜実
北海道出身。照明助手として「左様なら」(19)、制作進行として「メンドウな人々」(23)「蘭島行」(25)が劇場公開されたほか、札幌座が手掛ける舞台の制作に携わる。

- 伊丹そら
2002年生まれ、沖縄県出身。京都芸術大学15期生。いまおかしんじ監督が立ち上げた国映映画研究部では短編「LOST」(23)、第21回大阪アジアン映画祭では出演作「PEAK END」(25)が上映。

- 柳明日菜
熊本県出身。2023年、長編映画『テクノブラザーズ』で主演デビュー。初監督・脚本・主演作『レイニーブルー』が25年に公開。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ニューウエーブアワード賞を受賞。

- 日高真優
本プロジェクトには3年連続で参加。前回は参加者側の学生リーダーを務め、今回は本部制作スタッフの学生リーダーを務める。現在、大学3年生で映画制作を勉強中。俳優としても活動する。

- 村山暁
2002年生まれ。京都芸術大学卒業制作「お笑えない芸人」(25)では出演・助監督を務めSKIPシティ国際Dシネマ映画祭スペシャル・メンション受賞。出演作「ハローマイフレンド」が公開待機中。
全体統括
三谷一夫
事務サポート
曺明実
我妻詩穂子
山下みお
星野晃志
パンフレット制作
稲越一之
岡嵜優子
葛西佳子








