福島浜通りシネマプロジェクト Fukushima Hamadori Cinema Projent 2022映画24区

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Fukushima Hamadori Cinema Project 2024
「福島浜通りシネマプロジェクト」とは
HAMADOORI

2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県浜通り地区。10年以上が経過した今、ようやくすべての地域で避難指示が解除された。既に政府は地域住民の生業の再建や企業誘致に着手し、復興・再生に向けてさまざまな事業を推進している。
そんな中、映画24区は映画で新たな彩りを地域にもたらし、その魅力に惹かれる若者たちが集う流れを作っていきたいと、芸術・文化を通じた地域活性化イベント「福島浜通りシネマプロジェクト」を企画。第一線で活躍する映画監督やプロのスタッフたちを福島浜通り地域に招聘し、福島県内の地元市民および日本全国から集まった学生・若者たちと共に映画づくり体験に挑戦する。

復興・再建が進む福島浜通り・双葉町にて5日間にわたる映画づくり体験に挑む
復興・再建が進む福島浜通り・双葉町にて5日間にわたる映画づくり体験に挑む

映画「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」など、映画を活用した地域プロデュースを行う映画24区が2022年、経済産業省と共に立ち上げた「福島浜通りシネマプロジェクト」も2024年度で3回目を迎えた。

芸術・文化を通じ、新たな地域の独自性を創出すべく、映画づくりに注目した本プロジェクトは、震災から10年以上にわたり、全住民の避難が続いてきた双葉町において実施。福島第一原子力発電所における事故の影響で、今なお多くの住民が戻らないながらも、徐々に復興・再建が進む状況下、福島県内の地元市民および日本全国から集まった学生・若者たちが双葉町を訪れ、プロの映画監督とスタッフのサポートを受けながら、映画を完成させていく。

2022年夏、2023年冬に続く2024年度は11月13~17日に開催。これまで4日間だった日程を1日延長、秋晴れに恵まれた5日間となった。〈映画づくり体験〉はA・Bチームの2班に分けられ、チームリーダーの映画監督、サブリーダーの若手映画人、撮影・録音・編集などプロの技術スタッフがそれぞれに配置される。加えて2班をサポートする本部も映画制作現場で活躍するスタッフを揃えたほか、映画24区のスタッフが参加。さらに今年度は、同プロジェクトに参加経験のある2人を学生リーダーとして迎え、事前合宿を敢行。同じ学生目線で、映画づくり未経験の学生たちを引っ張っていく役割を担う。

1チーム6人、計12人がロケハン、脚本づくり、撮影、編集、上映と、映画づくりの全工程を体験。変わりゆく双葉町で、今しか撮れない風景を記録、その魅力を発信する。

双葉町での映画づくりで生かされる
人づくり、まちづくり──

2022年度の夏に経産省からの委託事業としてスタートした「福島浜通りシネマプロジェクト」は、翌年から補助事業となり、今回で3回目の開催となります。
学生たちがカメラを向ける先にある双葉町の姿は年々すさまじい勢いで変化しています。
本映画プロジェクトは一過性で終わることなく、この先10年間、復興の中で移り変わる双葉町の姿を、創造性あふれる学生たちの目を通し、映画という形で記録し続けることに大きな意味があると捉えています。
と同時に、震災前から双葉町に伝承されてきた歴史や文化など、人々の心の中にあり続ける「変わらない双葉町」の姿も改めて見つめ直す機会になればと思います。
また、映画づくりはたくさんの人を巻き込んでいく性質を持っており、ここで生まれたコミュニティや人間同士の信頼関係は今後のまちづくりにおいても十分生かされることと思います。
そしてこのプロジェクトに参加してくれた学生たちが今後の浜通り地域のまちづくりに関心を持ち続け、ひいては近い将来、直接的・間接的な形で浜通り地域の発展に寄与してくれることを願っています。
さらにその先には地域住民の方々が積極的に映画プロジェクトを引っ張っていく立場になっていただき、近隣地域の皆さんが楽しみにしてくれる年間行事に育てていきたいと思います。

スタッフ紹介

2チーム体制で制作。プロの映画監督をリーダーに、サブリーダーほか、撮影・録音・編集を指導する技術スタッフ、制作・車両担当がそれぞれ配置され、本部スタッフが手厚くフォローする。

中澤莉胡(学生リーダー)
勝田桃歌/髙尾優希/小渡梨乃愛
齊藤瑤平/劉宇博

市井昌秀
  • リーダー
  • 市井昌秀

1976年生まれ、富山県出身。2004年に初の長編「隼(はやぶさ)」が第28回ぴあフィルムフェスティバルで準グランプリと技術賞のW受賞。代表作「箱入り息子の恋」(13)「ハルチカ」(17)「台風家族」(19)「犬も食わねどチャーリーは笑う」(22)など。

堀 春菜
  • サブリーダー
  • 堀 春菜

神奈川県出身。2014年「ガンバレとかうるせぇ」主演で女優デビュー。17年「空(カラ)の味」で主演を務め、第10回田辺・弁慶映画祭女優賞受賞。23年よりLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」でPAさん役として出演。映画最新主演作は「スミコ22」「はるの行き先」など。

  • 撮影
  • 関 将史

撮影担当作品に、市井昌秀監督「無防備」(09)「僕らのごはんは明日で待ってる」「ハルチカ」(17)ほか、「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」(24)では照明を担当した。

  • 録音
  • 鰐部晶太

録音助手で「かば」(21)、「フィリピンパブ嬢の社会学」(24)、録音で「The Chef &The Daruma(原題)」(24/日本パート)、「解離するヴァルネラビリティ」(24)を担当。

  • 編集
  • 村山 暁

京都芸術大学映画学科15期生。俳優としても活動し「お笑えない芸人」(25)では出演・助監督を務めた。「SLIP」(23)では出演・演出・撮影・録音・編集を担当。

  • 制作・車両
  • 本間淳志

東京都出身。主な出演作に「校庭に東風吹いて」「僕らのごはんは明日で待ってる」(16)、「21世紀の女の子」(19)、「すとん」(24)、ドラマ『サウナーマン』(19)など。

日高真優(学生リーダー)
荒川佳恵/岩崎桃果/柿原寛子
髙木佑磨/伊丹光

吉田康弘
  • リーダー
  • 吉田康弘

1979年生まれ、大阪府出身。同志社大学卒業。2007年、映画「キトキト!」で監督デビュー。代表作に「旅立ちの島唄~十五の春~」(13)「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」(18)、ドラマ『埋もれる』(14)『プラージュ』(17)など。

後藤美波
  • サブリーダー
  • 後藤美波

静岡県出身。大学で美術史を学んだ後、渡米して映画制作を学ぶ。コロンビア大学大学院フィルムスクール修了。日米で多くの短編映画を執筆・監督した経験を持つ。2024年公開の「ブルーイマジン」では脚本とプロデューサーを務めた。

  • 撮影
  • 鈴木周一郎

撮影技師の藤澤順一氏、柴主高秀氏の現場を経て、佐々木原保志氏に師事。代表作「おしん」(13)、「わたしのお母さん」(21)、「高野豆腐店の春」(23)、ドラマ『ペンションメッツア』(21)など。

  • 録音
  • 岸川達也

録音を担当した近作に「水深ゼロメートルから」(24)、「シンデレラガール」「セフレの品格/決意・初恋」(23)、「オアシス」(24)では音響効果・整音も務めた。

  • 編集
  • ドニー・オルディアレス

フィリピン出身。映画監督。「ショートカット」(17)、「NENA」(20)ほか、10カ国のスタッフが集結して制作した日本=フィリピン合作映画「CROSSPOINT」が公開待機中。

  • 制作・車両
  • 芝博文

俳優として「うろんなところ」(17)「化け物と女」(18)、「愛がなんだ」(19)、「わたしの、途切れない物語。」(24)TVドラマ『オレは死んじまったゼ!』(23)などに出演。

永田 琴
  • スーパーバイザー
  • 永田 琴

大阪府出身。2004年「恋文日和」で商業デビュー。「シャンティ デイズ365日、幸せな呼吸」(14)「いけいけ!バカオンナ 我が道を行け」(20)、TVドラマ「ライオンのおやつ」(21)、東野圭吾『分身』(12)『変身』(14)『片想い』(17)など。

向田 優
  • 全体進行
  • 向田 優

窪塚洋介主演「Sin Clock」(23)助監督や石井岳龍監督「ソレダケ that’s it」(23)劇中コミック・アニメ作画などを務め、「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズにもすべて参加。本誌表紙イラストレーションも担当。アーティストとしても活動中。

吉田康弘

制作大宮実、四宮義斗、片嶺穂乃佳、萬田愛子
B編集/メイキング アンポール・プリンセス
全体統括 三谷一夫
事務サポート 曺明実、山下みお
パンフレット制作 葛西佳子(デザイン)、岡嵜優子(編集・文)

全体進行を務める向田優氏、全体統括の三谷一夫氏らと共に、地図や新たな資料を見ながら、撮影候補地を検討する。双葉町を訪れるのは昨年以来だが、駅西地区は住宅が整備されるなど、人の気配がほぼなかった町が徐々に息を吹き返している実感も。本プロジェクト告知ポスターは自ら掲示。

これまで以上に、学生たちの手による映画づくりができればと、今回、参加者の学生たちの中から学生リーダーを選抜。Aチームの中澤莉胡さんは第1回から本プロジェクトに参加、Bチームの日高真優さんは第2回からの参加と、いずれも複数回以上の映画づくり体験となる。当初、高校生だった二人も今や大学生。二度にわたる貴重な体験が、新たに参加する映画づくり未経験の学生たちの良きアドバイザーになるのではと、白羽の矢が立った。  2人は10月末に本部スタッフとともに双葉町入り。1年ごとに変わる景色に改めて驚いた様子だった。それだけにロケハン、打ち合わせに力が入る。2年前には見なかった子どもたちが遊ぶ姿に驚きながらも、エキストラ参加を呼び掛ける熱心ぶり。双葉町との新たなつながりも期待される。

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